社員が退職するとき、退職後の医療保険をどうすればよいか質問を受けることは多いと思います。特に、病気を理由に退職する社員は、その後の医療費や生活費をまかなっていけるのか心配なものです。
継続給付は2種類ある
健康保険では、退職により被保険者でなくなった後も、一定の条件を満たす場合、保険給付を受けることができます。
① 退職前から受給していた場合
退職日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格喪失の前から受給を開始していた「傷病手当金」または「出産手当金」を、引き続き受けることができます。
・ 傷病手当金・・・療養のため働くことができず給料を支給されていない日が連続3日あった場合に、4日目以降、休んだ日に対して標準報酬日額の2/3の額を支給されるものです。
・ 出産手当金・・・出産のため(産前6週間、産後8週間)働くことができず、給料が支給されない場合は、休んだ日に対して標準報酬日額の2/3の額を支給されるものです。
② 退職後に支給事由が生じた場合
資格喪失後に給付事由が生じた場合にも受けられる給付があります。死亡のときの「埋葬料」(または埋葬費)と「出産育児一時金」です。
・ 埋葬料・埋葬費・・・亡くなったときに、埋葬をおこなう人に埋葬料(生計を維持されていた家族の場合。一律5万円)または埋葬費(上限5万円)が支給されるものです。退職後でも、①の継続給付を「受けている人」か「受けなくなって3ヶ月以内の人」が死亡したとき、または被保険者が資格を喪失して3ヶ月以内に死亡したときは受給できます。
・ 出産育児一時金
被保険者や家族が出産したときに支給されるものです。退職後でも、退職日までに継続して1年以上被保険者であった人が資格喪失の日後、6ヶ月以内に出産したときは、被保険者としての出産育児一時金が支給されます。
いつ退職すべきか?
例えば、病気療養のため退職する場合、会社に迷惑をかけないようにと、早々に退職する人もいます。しかし前述のとおり、傷病手当金などは、受給を開始していなければ、退職後の継続給付が受けられなくなるため、いつ退職するかによって、その後の生活が大きく変わります。
また、出産手当金については、退職前にすでに産休に入っていても、退職日に労働してしまうと継続給付が受けられなくなるので注意が必要です。
このように①の継続給付を受給する際は、退職のタイミングが重要ですが、それ以外はあまり気にする必要はありません。
日本では「国民皆保険」といって、会社を退職しても国民健康保険に加入したり、配偶者の被扶養者になるなど、なんらかの健康保険に加入することになるため、そこから同様の給付が受けられるからです。
(ただし、傷病手当金と出産手当金は、国民健康保険や家族被扶養者になる場合は支給されません。)
任意継続の継続給付はなくなった
退職後、次の勤め先がまだ決まっていないような場合は、一般に国民健康保険に加入しますが、退職日までに2ヶ月以上の被保険者期間があれば、そのまま現在の保険制度に「任意継続」として加入するという選択肢もあります。
以前は、この「任意継続」でも、傷病手当金や出産手当金を受給することができましたが、法改正により、平成19年4月以降は、①の継続給付に該当しない限り、受給できなくなりました。給付面で期待して任意継続を選ぼうとする人は、この点に注意してください。
*健康保険組合の場合、取り扱いが異なる場合があります。

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